SSブログ

グラフェン  「つれづれ樹」   [たくみ]



DSC00382.jpg




「グラフェン」
 鉛筆の芯の材料であるグラファイト(黒鉛)から生まれる。グラファイトは炭素だけからなる物質の1つで,平らに並んだ炭素原子の層がいくつも積み重なってできてる。
 あらゆる物質の中でもっとも薄いだけでなく,非常に強くて硬い常温でほかのどんな物質よりも電子の移動速度が高い

 15分間でフル充電可能で1週間以上使用できるスマートフォン用の超高性能バッテリー、
 紙のように薄いディスプレイ、
 折り曲げることが可能なウェアラブルデバイス用高性能半導体、
 海水を純水に濾過できる超高性能フィルター、
 DNA塩基配列解析フィルター


 効率的な製造技術が確立できていない
 用途は それぞれに確立される時間の問題
 
 放射性物質除去フィルターに利用できないか
 常温核融合技術への可能性は?




 鉛筆で線を引っぱるたびに,物理学やナノテクノロジー分野でいま最もホットな新素材「グラフェン」の小片が生み出される。このグラフェンは鉛筆の芯の材料であるグラファイト(黒鉛)から生まれる。グラファイトは炭素だけからなる物質の1つで,平らに並んだ炭素原子の層がいくつも積み重なってできており,何世紀も前からグラファイトのこの層状構造は知られ,層に分けようと試みられてきた。この1枚の層はグラフェンと名付けられ,六角形の網目状に結合した炭素原子のみからなり,厚みは炭素原子1個分しかない。

 グラフェンの単離に成功したのはつい最近で,2004年に著者のガイムらはグラファイトを力ずくで引き剥がした破片からグラフェンを作り出した。セロハンテープにグラファイトの薄片を貼り付け,テープの粘着面で薄片を挟むように折り,再びテープを引き剥がす。これを繰り返すことによって薄片を剥がし,どんどん薄くしていくことでグラフェンと同定される資料が見つかた。その結晶構造はほとんど欠陥がないうえ,常温でも化学的に安定していることがわかった。

 実験室でグラフェンが発見されたことによって,世界中で活発な研究が始まることになった。グラフェンはあらゆる物質の中でもっとも薄いだけでなく,非常に強くて硬い。常温でほかのどんな物質よりも電子の移動速度が高い。目下,世界中の研究所ではグラフェンの性質を調査し,超高強度複合材料やスマートディスプレー,超高速トランジスタ,量子ドット演算素子などの製品に応用できるかどうかを綿密に調べている。一方,原子スケールで奇妙な性質を示すことから,相対論的量子物理学でしか説明できない物理現象をグラフェンを使って調べられる可能性がでてきた。これまで天体物理学か素粒子物理学の独壇場にあった研究が,グラフェンの発見によって,相対論的量子力学に基づく予測を実験室の卓上装置で検証できるかもしれない。
著者
Andre K. Geim / Philip Kim
物性物理学者の2人は,ここ数年,原子1個分の厚みしかない2次元の結晶材料がナノスケールで示す特性について研究している。ガイム(写真左)は英国王立協会フェロー。英マンチェスター大学でラングワージ物理学教授を務める傍ら,マンチェスター・メソサイエンス・ナノテクノロジーセンターを指揮している。ロシア科学アカデミー固体物理学研究所(チェルノゴロフカ)にて博士号を取得。キム(右)は米国物理学会フェロー。コロンビア大学で物理学准教授を務めている。ハーバード大学にて博士号を取得。研究テーマはナノスケール材料における量子熱輸送プロセスおよび電気輸送プロセス。

原題名
Carbon Wonderland(SCIENTIFIC AMERICAN April 2008)



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

nice!の受付は締め切りました

コメント 0

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。